年間で最も気温が下がる、冬の底といえる時期となりました。昨年の気象庁の記録をみると、1月下旬から2月中旬が最も気温が低く、大泉町の観測地点においては-10度までさがった日も何日かあったようです。
冬の北杜市というと田んぼや畑、家々の屋根にまで雪が積もった、白銀の世界のイメージを持たれるのですが、実際にはそういったシーンが見られるタイミングはごく僅かです。
基本的には晴天の日が続き、地面は乾燥し、カラッとした明るい里を囲むように、雪化粧をした山々がたたずんでいる。それが北杜市の冬の景色でしょうか。ただ、明るいからといって、暖かいわけではないのが北杜市の冬。写真からは伝わりづらい寒さは是非現地でご体験ください。
厳しい冬を過ごしていると、暖かいというだけで楽しくなる、娯楽だと感じる感覚に至ります。八ヶ岳おろしによる強い風と低い気温、外で作業をしていると、どんどんと体温が奪われていきます。
そんな中、家に戻った時の安堵感はかけがえのないものです。部屋の中ってだけで、こんなに違うのかと驚き、暖房のスイッチを入れ、やかんでお湯を沸かします。
コタツはすぐに暖かくなるのが良いところですね。お湯が沸くのを待つ間に、何を飲むかを考える。お茶かコーヒーか。コーヒーは入れるのが面倒で、コタツから離れる時間も多くなる。お茶にしようか。家にあるのは、紅茶、緑茶、焙じ茶、ウーロン茶、なんか薬草系もあったなと思う。身体が冷えた時に飲みたくなるのはほうじ茶が多い気がします。香ばしく広がる香りが身体をほっとさせるからか・・・。こんな風に思いを巡らすのも楽しい時間となります。
お茶を入れ、菓子箱から甘いものを出し、身体の中へ入れる。暖かい飲み物と甘いお菓子が体にいきわたり体の中から暖まるとともに、コタツが冷えた足先をじんわりと暖める。なんとも幸せを感じる冬の瞬間です。
仏教では、人は苦から解放される時に幸せを感じるというがまさにコレがそうなのかと思うことも。寒い環境に住んでいると、身体を暖めるというだけで、幸せを感じてしまう。暖かいは娯楽である。オシャレな薪ストーブである必要は無く、コタツだって、灯油ストーブだって、エアコンだって効能は変わりません。
冬の八ケ岳、暖かさをくれる自分の家が大好きになる季節です。
(ふるさと情報館八ヶ岳事務所 大久保