季節の変わり目を告げる風が、冬の終わりなら「春一番」、秋の終わりなら「木枯し一号」。「一番」というとお墨付きのようで、「一号」というとこの先まだ強い北風が吹きますよ!という覚悟を植え付けているようでおもしろい。「木枯らし」の条件は厳密で、東京方面では次のとおり。
1 時期は10月なかばより11月いっぱい。
2 西高東低の冬型の気圧配置。
3 東京の風向は西北西から北方向。
4 最大風速が、おおむね風速8m/s 以上。
▲事務所近く北杜市総合グラウンド(北杜市高根町)
山梨県内では昨年1日に初霜、15日に初氷を観測しており、農家ではこの時期も気象状況に敏感になっている。アメダス大泉の観測所では(標高867m)、昨年11月の最高気温21・0度、最低がマイナス2・0度。月平均9度で平年よりやや高めであった。日照時間が191時間、降水量は16ミリと内陸性の乾燥した晴れの気候が続く。「八ヶ岳ブルー」と呼ばれる澄み渡った青空のその先に富士山、甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳、瑞牆山などの四方の雪を抱いた名山が一望のもとに見渡せる時期がやってきたのだ。平山郁夫先生が小海線甲斐小泉駅から描いた富士山のブルーはもう少し季節が進んだ頃だと思われるが、こうした時期に見学会を行う僥倖にも私は感謝している。
▲雪をいただいた八ヶ岳(北杜市大泉町)
季節とともにあるのが地域の行事。毎年11月3日は明野町の浅尾ダイコン祭りが行われる。雨の少ない茅ヶ岳の麓では江戸時代から灌漑用水(浅尾堰)を須玉方面より引いてきて地域の農地を潤してきた。苦労の甲斐あって冬場の保存野菜にも重宝する浅尾ダイコンはこうした冷涼で寒暖差が大きく日照時間が長い南西斜面の当地だからこその農産物だ。その日は瑞々しいダイコンで鍋物を囲む家族が多いという。
この時期の物件見学は朝夕の冷え込みと日中の気温差が20度近くになるため、着帽で上厚手の上着が必要。今年最後の見学会にもお出かけください。
▲釜無川の晩秋(北杜市白州町)
11月の八ケ岳事務所だより
八ケ岳事務所 中村健二