▲満開の桜の下、道行く人をお地蔵さんが見守る。(北杜市須玉町)
季節は冬を終え、春となりました。
北杜市の今シーズンの冬を振り返ると、まず思うのが、雪が少なかったということでしょうか。標高1200mの我が家では雪かきは1回だけ、それも積雪は少なめで、やらなくても支障が無い程度でした。標高760mの八ヶ岳事務所では積雪すら無い状況でした。
一方で寒さが身に染みる冬でした。例年に比べ、朝の冷え込みが厳しい日が多かったように思います。
我が家は朝風呂派なのですが、冷え込んだ朝に給湯器の調子が悪くなり、お湯は出るものの、追い炊き機能が使えない日が数日ありました。設置から10年以上、もう寿命が近いのかもしれませんが、北杜市に来てから初めての経験でした。その後、気温が上昇すると給湯器は復活。取り換えると40万円程かかるもの。家計の為に、少しでも長く頑張って欲しいと願うばかりです。
新型コロナウィルスの密閉対策の為に、窓を開けて仕事をしたことも、寒さが身に染みた原因の一つでした。室内を温めても、少しだけ開けた窓からどんどん熱が逃げてゆく。必要なことですが、どこまで換気をしたら大丈夫なのか判断に迷った方も多いのではないでしょうか。光熱費もですが、身体にとっても負担が多い冬でした。
▲田へ水を引く水路の脇には春の草花。(北杜市高根町)
さて、北杜市も4月になると冬が終わり、春めいてきます。
まず風が変わるような気がします。八ヶ岳おろしと言われる北の風、冷たく乾いた風が止み、南から湿度を帯びた温かい風に変わります。
春の風は香りも連れてきます。春の訪れと供に芽を出す山菜や、花々、野草、様々な植物の匂いが、風にのってくるのでしょうか。
気づけば、身体がホッと緩んでいる自分がいます。
身体が緩むと、心まで緩んでくる。ガチガチになっていたつもりは無かったのですが、やはり何処かで緊張が続いていたのでしょうか。
▲晴天の青空の下、菜の花畑の先には南アルプスの眺め。(北杜市長坂町)
春の季語に変わったもので、山笑うというものがあります。
春の山の生き生きとして明るい様子を擬人的にいったものとのことです。正岡子規は、「故郷や どちらを見ても山笑う」と読んでいます。
普段、俳句に全く縁が無く、俳句って何を言っているか分からないと思っていたのですが、北杜市に住み、冬を越え、春のこの自然の芽吹きを間近に見ていると、「山笑う」という言葉がとてもストンと腑に落ちます。なんだか心が浮き立つ言葉ですね。
春の風を受けに、命の芽吹きを見に、北杜市を訪れてはいかがでしょうか。
(八ヶ岳事務所 大久保武文)