急遽決まった白州への移住は2015年晩秋だった。大量の仕事関係を含む新旧自宅の荷物の整理に追われながら引っ越し1ヶ月後から2期8ヶ月に及ぶログ建築も行う大工職人の弟による改修工事が始まった。築30年のログ表面は全てサンダーで削り落とされ30年ぶりにまっさらな木肌が現れ感激!ログは再塗装され、年数を経て痛んでいた屋根は全面廃材を出さないガルバリウム鋼板を貼ることになった。弟一人での作業と、ドーマー、天窓が多い複雑な急勾配の屋根構造のためかなり手間どったが、2期工事の2階西側窓の補修取り替えと2階ホールの床貼りで工事は無事完了した。
一方、節約のために主人が行なった工事も多々あった。工房となる長年使われていなかった離れは、コンパネむき出しの床にネットで取り寄せた店舗用クッションフロアを敷き込み、壁紙、キッチン周り、お風呂場を漂白剤で洗浄。母屋のキッチンのクッションフロアも新しい物に変えられ、キッチンの壁は前の持ち主が残していってくれた塗料を、床や出窓はウレタンニスを塗り、手前味噌だが築30年とは思えない見栄えになった。暖炉を解体、薪ストーブに変え、古い浄化槽を潰し新設したことも快適な暮らしには必要だった。
家が一段落すると次に気になったのは県道に覆いかぶさるように伸びているケヤキやコナラの枝であった。合計15本の大木をツリーワークで整理していただき、整えられたコナラの向こうに鳳凰三山が見られるようになった。
夢だった庭造りには一番気合いが入った。無数のススキ、木の根、蔦を整理し、雑草と石たちとは共存して行く覚悟ができた。昨年植栽された半日陰の庭にはクリスマスローズ、紫陽花、ギボウシ、アスチルベや低木が元気に育っている。今年は雑草エリアに小道を作り、ふるさと倶楽部花ともだちの種苗交換会や友人たちの庭からいただいた苗を植えて花壇エリアを拡大している。庭造りはまだまだ続いていくが少しづつ形になって行く庭での充実した毎日に移住して本当によかったと思う。
忠 喜美江
埼玉・所沢市→山梨・北杜市
1953年長野県生まれ。会社勤めの後25年間英語教室運営。北杜市移住後は無職となり、アロマと庭造りを楽しむ毎日を送っている。