早いもので今年も7月がやってまいりました。7月というと初夏というイメージがありますが、実際は7月の中くらいまでは梅雨の時期。北杜市の長坂町にある「花の寺」と呼ばれる龍岸寺では、人気のないひっそりとした雰囲気の中、石仏と紫陽花の花が迎えてくれます。
雨に濡れた石像と、雨に濡れ生き生きと咲く花の対比は、なかなか魅力的です。静かな雰囲気を壊さぬように、小人数で、できれば一人で参拝に行かれてはいかがでしょうか。ちょうど1年の折り返し地点、普段は足を運ばぬところを訪れ、一度、時間の区切りをつけてみる。そんな息抜きのようなものが必要かもしれません。
5月の下旬、久々に山登りに行ってきました。本格的な登山としては実に3年ぶりでしょうか。北杜市に移住後は、日常の中で見える周囲の山々に胸が躍り、八ヶ岳を中心に初心者向けといわれるルートを歩くようになりました。
ただ、コロナ禍になってからは標高の高い山からは足が遠のき、湿原巡りなどをしていました。コロナ禍も明けて、せっかく近くにいるのだから、八ヶ岳の最高峰である赤岳に登っときたいと思い、それに向けて登山を再開しました。
復帰の第一弾として選んだのは、標高が2230mの瑞牆山(みずがきやま)。以前からその岩城のようなカッコ良い姿に憧れていたのと、残雪も無く、日帰りできることが決め手となりました。約5時間の行程、樹林帯を抜けると、次々と巨石が現れ、その間を縫うようにくさり場が続き、飽きることがありません。自分でも意外なほど疲れもなく、山頂まで到達。
ただ、忘れていたのですが、登山で疲れるのは下りの時。普段ほとんど使われていない私の膝は下りになると、一気に頼りないものになりました。下山後は疲れとともに、なんとも言えない充足感が静かに湧いてきます。ああこの感じ、これが登山の醍醐味だと思い出す自分。山登りが自分の中に戻ってきたような気がしました。
(八ヶ岳事務所 大久保武文)