凍てついた大地からひょっこりと生きものたちが頭を出しはじめるこの時期。八ヶ岳南麓では冬から春へのタスキの引き継ぎは、風がもたらすのが決まりとなっています。宮沢賢治が韮崎出身の保阪嘉内から教えられたと思われる「八ヶ岳おろし」が「風野又三郎」にも出てきます。
▲強風にはためく沿道の上り旗(北杜市高根町)。
冬の使者はいつしか消え、南風がその座を譲っていくのです。長く裾野を引く八ヶ岳の東側から吹く風を「佐久口」、西側より吹くそれは「諏訪口」と呼ばれます。大陸の発達した高気圧がもたらす季節風が東は須玉川、西は釜無川を下って甲府盆地に集まるのだから堪りません。
サッカーの名門・韮崎高校が全国制覇まであと一歩まで迫ったのは正確無比なショートパス。それが鍛えられたのは八ヶ岳おろしだという人も多いです。
▲残雪の残る神々しい甲斐駒ヶ岳(北杜市大泉町)。
南麓の物件探しで注意したいのは、山岳景観の抜けるような景色の場所で北側に道路がある物件の場合。北側に玄関を持っていく配置にすると戸が強風で開かなくなったという人を何人もわたしは知っています。そうした時にはこの地域で建築設計を数多く手がける住空間研究所の松本勲氏に土地選びを相談するのも手。物件見学の折には事務所スタッフにお気軽にお声掛けください。
八ヶ岳住空間研究所 https://yatsu-sumaiken.net
▲富士山の笠雲。まもなく雨模様の天気(北杜市高根町)。
文:八ケ岳事務所 中村健二