地方に移り住んで、のんびりと静かに暮らしてみたい。そんな贅沢な気分に浸りながら
色々な土地柄を見て回わる。そんな中八ヶ岳南麓の風景に出逢い、心が動く。田舎暮らしで農作業・庭造り・読書三昧の日々、以前からの憧れの思いが叶うかも。そしてその土地で新たに自分に出来る事を見つけたい。
そんなある時、横浜の広報誌に載った小学校の図書修理ボランティア活動に目をとめた。私は趣味で35年前に製本を習い、それからは自分なりに本のリメイクや雑誌の合本等をして楽しんでいた。しばらくは遠ざかっていたので多少心配なことのあったが、15年程前くらいから思いきって参加。それから2年程ボランティアの仲間たちと一緒に、小学校を周り修理のコツを覚えていった。
その後に、北杜市にアパートを借りて家族と移り住み、物件探しに奔走する。仮住まい中に縁あって北杜市の図書修理を始め、4年目にして念願のマイホームを手に入れた。
今私は、市内にある6ヶ所の図書館から送られてきた壊れた本をボランティアで一人で直している。ボランティア登録時の話によると、「壊れた本を直す時間がつくれない」「まだ修復する技術が伴わない」と、簡単な貼り合わせ程度ならば職員やアルバイトを使って直している現状で、それ以上は手つかずの状態と聞き知った。そんな訳で大変歓迎されて嬉しく感じた。
修理を始める打合せで、作業スペースの確保、専用の製本道具類、製本材料の調達や入手方法等ほとんど整っていない中でのスタートとなり、当面の間、修理に必要な道具・材料の少なからずの部分は手前の物を使うこととなった。市内の各館よりそれまで修理出来ずに置いてあった図書が一斉に送られて来るので、週2回の修理に館内に出向いても間に合わず自宅に持ち込んだ事も。
修理に依頼される図書は、単行本を始め、図鑑、雑誌、図録、報告書、一番多いのは子供が読む絵本。絵本は丈夫に作られているので、元通りに丈夫に保つように修理するのが大変で、またやりがいがある。館の職員さんから修理の手際の良さや、仕上がりの出来栄えが良いと喜ばれている。
現在は修理にも慣れて、楽しい日々を送っています。
八ヶ岳ふるさと倶楽部交換日記
◆岡野 則夫(おかの のりお)
神奈川・横浜市→山梨・北杜市
1948年神奈川県生まれ。会社勤め中に製本技術を習う。
定年後アルバイトをしながら田舎めぐり。
移住後は図書修理のボランティア、読書、畑、散歩、
またノート作りで出店など忙しく動いている。