▲11月初旬。紅葉したカラマツの葉が輝く。(山梨県北杜市高根町)
秋から冬へと移り変わる季節です。
朝晩の冷え込みが厳しくなり、紅葉の見ごろとなるのが10月中旬からで、11月の前半にはカラマツの葉が日を受けて黄金色に輝く様を見ることができます。
標高差のため比較的長い間、紅葉が楽しめる八ヶ岳南麓ですが、11月の中旬にもなると標高の高いエリアでは葉が全て落ちてしまいます。紅葉狩りを楽しむには急がれた方がよろしいでしょう。
▲秋空の下、夕暮れで赤く染まる八ヶ岳。(山梨県北杜市高根町)
甲府地方気象台の2020年の観測によると、初霜が11月1日、初氷が少しおいて11月5日でした。
霜は空気と接触している物体の温度が0度より低くなると、空気中の水蒸気が、物体の表面に氷として成長することで出来ます。冬の晴れた朝などでは放射冷却で、地面付近の温度が気温よりも数℃低くなるため、気温が0度にならなくても霜が降りることがあるそうです。
霜が降りていると朝の気温が零下になったと思っていたのですが、そうとも限らないのですね。初霜と初氷に数日のタイムラグがあるのはそういう理由なのでしょう。
▲11月中旬。標高の高い場所では落葉が進む。(北杜市大泉町)
甲府地方気象台ではその他に、初雪、富士山の初冠雪、甲斐駒ヶ岳の初冠雪の観測をしており、観測記録をホームページに記載をしています。
富士山の初冠雪は平年では10月2日なのですが、今年は大幅に早まり9月7日に初冠雪というニュースが流れました。ニュースを見て驚き、早速に八ヶ岳事務所近くの田んぼまで見に行くと、確かに富士山の頂上が白くなっています。まだ北杜市では残暑を感じる陽気で、稲は成長の途中、麓と山の上では随分と気候が違うなと思いました。
しかし、この初冠雪ですが後日談があり、記録としてその後に取り消されてしまいました。数日で融けたとはいえ、一度は雪が積もったのにどうしてでしょうか。これは初冠雪の定義に当てはまらなくなってしまったからだそうです。
その定義とは、
「富士山特別地域気象観測所の日平均気温の最高値が出現した日以降に、初めて冠雪を観測した日を初冠雪としています。」というもの。
当初、8月4日に日平均気温の最高値が出現したものとし、9月7日に初冠雪を観測としていましたが、その後、9月20日に日平均気温の最高値が更新されてしまったそうです。その為、最高値が出現した日より前の冠雪は初冠雪の定義に当てはまらなくなり、初冠雪記録も抹消となったそうです。冠雪後の9月の後半にもなって、1年度で一番暑い日になるとは、気象の当事者も驚いたでしょう。因みに9月20日の富士観測所の平均気温は10.3℃でした。とても年間の最高値とは思えない低い気温ですね。富士山の環境の厳しさを改めて感じました。
▲11月上旬の富士山の様子(山梨県北杜市大泉町)
(八ヶ岳事務所 大久保武文)