5月中旬から始まった田植え作業も6月初旬までくると、ほぼ全ての田んぼが完了しています。冬の間は乾いて、カラカラの茶色い大地だった場所が、水をたたえ、小さな緑色の稲が育つ、命の水場へと変わります。
これから冬にかけて、カエルやトンボ、ザリガニ、野鳥など様々な生物が過ごす生活の場とるのですね。日本人の心のふるさと、原風景ともいわれる田園風景とは、水と稲だけでなく、その周囲に交わる生き物がいるからこそ、魅力的なのかもしれません。
家の近くに田んぼがあると、雨が近づくと、カエルがオーケストラを奏ではじめ、カエルの鳴き声の後、雨が降り出したことに気づく。なんだか自然との中継ぎを生き物がしてくれているようで嬉しくなります。
6月の気候は、最低気温は10℃を下回ることは無くなり、最高気温も25度くらいと、朝は涼しくて日中は暖かい。体感として楽な時期といえるでしょう。一方で梅雨の時期にかかり、日常では雨が気になるところですが、そのおかげで森の木々は生き生きとしているように感じます。たまの晴れ間に森の小道に入ると、みずみずしい若葉の間から光が差し込み、緑のトンネルにいるかのようです。森に囲まれたお家の方であれば、若葉の輝き、風にゆれる様を見ながら屋外でお茶を楽しまれるのも良いでしょう。緑の森とウッドデッキの組み合わせは絵になりますね。
毎年、この時期になると足を運ぶのが、富士見町の入笠湿原です。冬はスキー場として運営している富士見パノラマリゾート、このゴンドラに15分ほど乗ると、標高1800m程の高地に到着し、そこに山野草の高原が広がっています。この入笠湿原で6月に楽しめるのが、日本スズランです。その数、100万本。びっくりするような数ですよね。市場で出回っているスズランはドイツスズランが一般的とのことで、日本スズランは一回りも二回りも小さい。また2枚の葉よりも下に、隠れるように花を咲かせるため、上からは花が見づらい。その為、100万本という言葉からくるほど、ゴージャスな景色では無いのですが、その可憐さが逆に自然に感じ、私は惹かれるのでしょう。