私がふるさと情報館に入社したのが1995年3月、そして八ヶ岳のふもとの小渕沢町に家族とともに移住したのがその2年後の1997年8月のこと(長野オリンピックの前年)。すでに22年ほどの歳月が流れたことになります。不動産の売買においてもすでに1000組以上の方々をこの八ヶ岳で仲介させていただくことができました。
その中には20世紀の終わりに60歳前後で現在の北杜市へ移住された方も多くいらっしゃいます。考えてみたらそうした方々の八ヶ岳暮らしもすでに20年を超えています。御歳80歳をすでに過ぎた方も。その中には都会にいる子供たちに「お母さん、もうそろそろ大泉の山の中からうちに戻ってきて!」と切実な訴えをされたり、夫婦とも足腰丈夫なうちに温暖な鎌倉に帰ります、とお話をされることもあります。もちろん八ヶ岳を終のすみかと捉える多くの方々もいらっしゃいますが…。
4月27日付山梨日日新聞によると山梨県の空き家の数は9万戸、総住宅数(42.3万戸)に対する空き家率は21.8%と前年よりも減少したにもかかわらず全国1位のままです。
北杜市においては、別荘という空き家、実家という空き家のほかに移住者の住まいが空き家になることがこれからますます増えてくる可能性が高くなってきました。
しかしながら、いま八ヶ岳南麓の不動産が活況を呈しているのは新築住宅の需要増ではなく、移住者宅の再売りなのです。20世紀後半のかつての移住者の良質な住宅(愛着を持って大事に住まわれてきた)が令和の時代の移住者にとって値ごろ感ある物件(移住というキーワードで結ばれた)になりつつあります。
八ヶ岳事務所 中村健二