2000年3月、八ヶ岳南麓にログハウスの家が完成した。
結婚してから都会のマンション暮らし。いつかは一戸建ての家に住みたいと思っていたが当時の不動産事情ではとても夢は叶いそうになかった。ある雑誌に“セカンドハウス”という暮らし方が紹介されていて、「へぇ、こういう暮らし方も素敵かも」と思ったのが今から22年前。
思いは叶うもので、4年後には「週末田舎暮らし」が実現した。毎週金曜日の夜に車をとばして八ヶ岳へ。朝起きると霧に包まれて、なんとも幻想的。近くの農園を借りて野菜作りも始めた。自然の中の生活にすっかり魅了された。
それから10年、八ヶ岳への移住を決めた。きっかけは知合いの紹介で借りた畑からの景色の素晴らしさと週末だけでやる広さ(600坪)ではなかったこと。
自然豊かな場所での農作業はとても楽しく、「野菜作りで生活していくのもいいかも」と相方に提案したところ、すんなりOK。その畑で採れる八ヶ岳の美味しい野菜の宅配販売で生計を立てることにした。
野菜づくりはもちろん、販売先の開拓、発送作業etc新しい生活は、チャレンジすることが盛りだくさんで、大変ながらも楽しい生活が始まった。
八ヶ岳・富士山・南アルプスを一望できる畑からの景色は、農作業の疲れも感じさせない素晴らしさで、自然の恵みに感謝する日々。やっぱり移住して良かった!
そして移住から5年、運命の古民家に出会ってしまった。
農業の拠点として昔ながらの日本家屋に興味があり、相方が情報収集していた。出会ったのは谷戸城址近くの趣のある古民家。この出会いがさらに田舎暮らしを楽しいものにしてくれた。物件を紹介してくれたふるさと情報館の担当者からの提案がきっかけで、宿を始めることにしたのだ。
昔ながらの趣が残る古民家は、非日常を楽しめる癒しの空間。自家農園の野菜をたっぷり使った料理は普通の宿では味わえない魅力になっているようで、お料理を並べると歓声があがることも。「美味しかったです」と帰る時の皆さんの笑顔が私にとってなによりものご褒美になっている。
宿の他にも「古民家を楽しんでもらいたい」との思いから、ランチ営業(営業日/4~11月の土・日・月)や、衣食住まるごと手づくり展、蔵コンサートなどのイベント開催にもチャレンジしている。
試行錯誤の日々ではあるが、ワクワク楽しいことができる八ヶ岳の田舎暮らしは最高!
今年も冬ごもり(12月~2月)中にあれこれ考えて、楽しくやっていきたいと思っている。
八ケ岳ふるさと倶楽部交換日記
稲岡 みゆき(いなおか みゆき)
神奈川県・横浜市⇒山梨・北杜市
1964年静岡生まれ。28年間勤めた会社を退職し、2010年に八ヶ岳へ移住。
旅行が趣味だったが、八ヶ岳に通い始めてからは「ここが最高」と野菜作りが趣味に。いつのまにか本業に。