写真:ヘルパーの資格を取るために通った富士見のふれあいセンターから見える八ヶ岳。
「こんにちは」お昼のお弁当をもって竹子さん(以下名称はすべて仮称です)の家に。やっぱりいません。畑に行き、そして田んぼへ。いました。今日は田んぼで落穂ひろい。91歳の竹子さんは足が少し不自由なので四つ這いであぜ道を移動しています。晴れたらデイサービスをさぼり田んぼか畑。「元気に働けるんだから当たり前」と竹子さんは言います。
「あんたどこの人だえ」認知症を患う91歳の昌子さんの訪問は毎回同じ言葉で始まります。そして定番の自己紹介です。通い始めて10ケ月。「こんばんは」という私に「いつもありがとう」の一言。思わず涙がこぼれました。
東京から移住してきた民代さんは94歳。ご主人を亡くし、一人で暮らしています。三食しっかり自分でつくり、韓国ドラマをみるのが楽しみの毎日。民代さんのお宅には一日2回お薬をもって訪問しています。お風呂に入るのが心配なとき、「入りますよ」と「出ましたよ」の電話がかかってくることがあります。「もしも『出ましたよ』の電話がなかったら、来てくださるわよね。あなたたちがいてくれるから安心して暮らしていけるの」と民代さん。
人類が初めて直面する人生100年時代。竹子さんも昌子さんも民代さんも突然きた100年人生にとまどいながら懸命に生きています。そんな先輩の姿に寄り添い、学びながら自分自身の「老い」を考えることができるヘルパーの日々がとても大切に感じます。
とはいえ新米ヘルパー。無力さに落ち込みながら訪問先から帰る日もあります。そんな時、車の窓から見上げる八ヶ岳にいつも元気をもらっています。
八ケ岳ふるさと倶楽部交換日記
齊藤眞澄(さいとう ますみ)
千葉・佐倉市→長野・富士見町
1957年長野県生まれ。37年間務めた仕事を2017年定年退職。
7月より定住。12月からヘルパーの仕事を始める。