
桜の季節です。 今年が始まったのは、つい先月のような感覚もあり、もう桜の時期かと思う気持ちが無い訳では無いですが、単純に桜が見られることを嬉しく感じます。
八ヶ岳南麓の厳しい寒さを乗り越え、草木や昆虫などの命の芽吹きを日々感じられるこの時期。 体も自然と緩み、心も緩んできます。 また春を迎えられたと感じる喜び。それが大切な人や友となら、もうこれ以上は無い至福の時なのではないかとさえ思います。
人の一生は、いつどうなるかわからない。 終着というものは必ずあるし、その過程において体が、どう変化するかも分からない。誰にも分からないのだと思います。 そんな風に思ってしまうのは、不動産売却という仕事柄かもしれないですね。

不動産のご売却というのは、人生の分岐点で行われることが多いと感じます。 ご自分の年齢であったり、体の衰えだったり、子供からの勧めであったり。 それぞれの方が人生と向き合った結果として不動産の売却という行動が出てきます。無事にご売却を迎えた後、一年も経たずに亡くなられたと聞くこともあります。 ご子息からはあのタイミングで、次の方に引き継ぎが出来て良かったと安堵の話を聞くこともあります。
時間というのは常に一方向に流れているようです。 その中で、迅速に良い方を、売主が大切にしてきた家という宝物を、引き継いでくれる方を探す。 引き継いでくれた方が良い方であれば私も本当に嬉しくなります。私が日頃行なっている、売却相談という業務は、自然と売主、その人の今までの人生を聴き、場合によっては終着駅までも一緒に垣間見てしまう仕事かもしれません。
終着駅が近づいているという話は、一見寂しくも感じられるかもしれませんが、私はこの売却相談が楽しいことが多い。 それは大袈裟にいうと彼、彼女達の人生の冒険談を聴くことができるからです。移住という選択をした彼ら。彼らは例外なく人生の後悔をしていないのです。
あーすれば良かった。あのとき決断をしておけば、そんな後悔なく、生きてきた方達。 人生は限りがある、ただ自分で動き、切り開いてきたから、ここにいるのだと。

そんな方たちの話しを直に聞けるのが、私のしている売却相談という仕事の醍醐味なのです。
(八ヶ岳事務所 大久保武文)