▲枯草、落葉した木の先に雪化粧をした南アルプス。(北杜市長坂町)
暦では2月4日は立春となります。正直、北杜市にいると春の始まりという感覚はまだありません。1月下旬から2月の中旬ぐらいまでが年間で最も気温が下がる時期となります。夜明けの時間帯が一番冷え込み、日によっては気温が―15℃度に達する日もあるほどです。
毎年、我が家の給湯器の調子が悪くなるのもこの時期でしょうか。昨日までは普通にお湯が出ていたものが、ある朝、急に動かなくなる。早ければ日中に動くようになるのですが、機械にとっても八ヶ岳の寒さは厳しいということなのでしょう。
他にも身近なとこではスマートフォンやカメラのバッテリーの消費が激しくなります。充電満タンのはずが、取材中にカメラのバッテリーがまたたく間に切れて驚いた事がありました。最初はバッテリーの経年劣化かと思いましたが、原因は寒さでした。現在は、ズボンのポッケに入れて体温でバッテリーを温めておけば、通常とおり動いてくれています。同業者の方から教えてもらったのですが、私にとっては生活の知恵となりました。
ヨーロッパ、中国を中心に普及が進んでいる電気自動車においても、バッテリーの温度管理が大事なようです。外気が暑いときにはバッテリーを冷まし、寒いときにはバッテリーを温めることで、航続距離を随分と伸ばせるという話を聞きました。
寒さの厳しい八ヶ岳の気候は、電気自動車には負担が大きいかもしれません。ただ、脱炭素の波は確実に、地域を問わず日本にも訪れることでしょう。八ヶ岳で最もポピュラーな暖房は灯油ストーブですが、暖房機器にも脱炭素の流れがくるのでしょうか。なんだか、当たり前に使いすぎているので、石油ストーブが無くなるというのは現実感が湧かないところです。
一方で、薪ストーブが環境に優しい、カーボンニュートラルな暖房だと言うのは嬉しい話です。ただ、それも継続的に森林を育てていくことが大前提となります。昨年はウッドショックという言葉が聞かれましたが、現在、薪の調達も難しいという話をお聞きします。冬の暖房をどうするのか、北杜市に住む上で、今後は大きなトピックとなりそうです。
▲ふるさと情報館八ヶ岳事務所の近くの景色(北杜市高根町)
寒い、寒いと書いてきた2月の北杜市ですが、後半にもなると所々で春の訪れを感じることがあります。
新緑の時期はまだ遠く、畑も草原も枯草でまっ茶色な状態ですが、足元をよく見ると、枯れ葉の間から小さな草花が咲いている様が見えるようになります。
いつの間に葉を伸ばし、花を咲かせていたのだろうと不思議な気持ちになります。八ヶ岳おろしの冷たい風が吹き、時には雪がちらつき、朝は霜柱が立つ、そんな過酷な環境の中、地面の下で着実に新しい命を育んでいた事に、リスペクトの気持ちさえ湧いてきます。
小さな春を探しに、寒空の下、お散歩するのも良いものですね。
▲2月の下旬。仏の座、オオイヌノフグリが咲き始める。(北杜市大泉町)
(八ヶ岳事務所 大久保武文)